鍼灸の事

「鍼(はり)って本当に効くの?」「なんで刺すだけで痛みが軽くなるの?」
そんな疑問を持っている方、多いのではないでしょうか?

鍼灸がなぜ身体に効くのか?という疑問に、神経学的な視点から、なるべく分かりやすくお答えしていきます。

鍼灸=「ツボに刺激を与える治療」だけじゃない

東洋医学では「気の流れ」や「経絡(けいらく)」という考え方がありますが、

最近では神経科学や生理学の研究も進み、鍼灸の作用が脳や神経系にどう影響しているのかが、徐々に分かってきています。

神経学的には、どう効くの?

① 痛みのブロック(ゲートコントロール理論)

鍼を刺すと、その部分の皮膚や筋肉の感覚神経が刺激されます。
この刺激は、脊髄を通じて脳に送られますが、その際に面白いことが起きます。

脊髄には**「痛みの信号」を調整するゲートのような仕組みがあります。

鍼の刺激が入ることで、
〇「触った」「圧を感じた」といった痛くない信号が優先され、
〇「痛みの信号」が脳に届きにくくなる
と言われています。

これが、「鍼を刺すと痛みが軽くなる」理由の一つです。


② 脳内の“痛みを抑える物質”が出る

鍼刺激によって、脳内では
エンドルフィン
セロトニン
ノルアドレナリン
などの鎮痛作用のある神経伝達物質が分泌されます。

特にエンドルフィンは「脳内モルヒネ」とも呼ばれ、強い鎮痛効果を持ちます。
つまり、鍼灸は体内から自然な痛み止めを引き出す治療ともいえるのです。


③ 自律神経を整える

ストレスがたまったり、睡眠不足が続くと、自律神経が乱れがちになります。
鍼灸は、交感神経と副交感神経のバランスを整える作用があることが、研究で示されています。

〇 交感神経 → 興奮・ストレス・緊張
〇 副交感神経 → リラックス・回復・睡眠

鍼灸治療で副交感神経が優位になると、体がリラックスモードに入り、
・不眠
・胃腸の不調
・慢性疲労
などの改善につながると言われています。


④ 筋肉の緊張をゆるめ、血流を改善

鍼を刺すことで、筋肉の中のトリガーポイント(硬くなった部分)に直接刺激が届き、
〇 血流が促進され
〇 筋肉の緊張がやわらぎます。

これは、筋肉内のセンサー(筋紡錘)や神経反射を通じて行われていると考えられています。
その結果、肩こり・腰痛などの慢性痛が改善されるのです。


まとめ:鍼灸は“神経と脳に働きかける治療”

鍼灸は単に「ツボを刺す」だけではなく、
〇 神経系に刺激を与え
〇 脳の鎮痛システムを活性化し
〇 自律神経や筋肉、血流にも影響を与える

という、全身のバランスを整える治療です。

「科学的な根拠があるの?」と不安に思っていた方も、
こうして神経の仕組みを知ると、納得できる部分があるのではないでしょうか。


もちろん、すべての症状に鍼灸が万能というわけではありませんが、
〇 薬に頼りたくない
〇慢性的な不調を根本から改善したい
という方には、非常に有効な選択肢の一つです。

特に、のの鍼灸室では、自律神経の治療、首肩の治療がとても良い結果が出ております